1. HOME
  2. 事業案内
  3. 高周波焼入れ
  4. 高周波熱処理
  5. 01 技術情報・・・高周波熱処理

高周波焼入れ

高周波熱処理

01 技術情報・・・高周波熱処理

2.5.1 高周波熱処理の特徴

(1)材質面とプロセス面の特徴

高周波誘導加熱には、直接加熱(自己発熱)による急速(短時間)加熱、高周波電流の表皮効果による表面加熱、適切な加熱コイルの選択による部分加熱という特徴があり、これを利用した代表的な熱処理方法に高周波焼入れと高周波焼戻しがある。高周波焼入れは、主に鉄鋼製機械部品の表面硬化法として用いられ、耐摩耗性、疲れ強さ、じん性が向上することによって、部品の高強度化、小型軽量化に役立っている。

表2.5-1に高周波焼入れの材質面とプロセス面での特徴を示す。表2.5-2にJIS B 6912(2002)「鉄鋼の高周波焼入焼戻し加工」に規定される加工の種類と記号を示す。

(2)高周波誘導加熱の特徴と原理

高周波誘導加熱の特徴である「急速加熱」は、図2.5-1に示すように、加熱コイルに高周波電流を流すと交番磁束が発生して加工材料にうず電流が誘起されジュール熱が発生するうず電流損と、鉄鋼材料は磁気変態点(キューリー点)Ao点までは磁性材料であり交番磁束により磁区回転が生じ発熱するヒステリシス損により自己発熱するために可能となる。なお、高周波誘導加熱で発生する熱エネルギーは、うず電流損が大半を占める。

「表面加熱」は、図2.5-2に示すように、加工材料に流れるうず電流が、周波数の増加とともに表面に集中し、電流密度が表面で最大になり、内側に入るにつれて急激に減少する表皮効果により可能となる。

その度合いは、(25.1)式に示すうず電流の浸透深さδで表され、周波数が高くなるとδが小さくなり、急冷すれば焼入れ時の硬化層深さも浅くなる。

δ=5.03×103√ρ/μ・f (25.1)式

δ(cm):うず電流の浸透深さ(電流密度が表面の36.8%の位置)

ρ(Ω・cm):被加熱物(加工材料)の抵抗率

μ:加工材料の比透磁率(磁性材ではμ>1、非磁性材ではμ=1)f(Hz):周波数

「部分加熱」は、後述する加熱コイルと冷却装置(冷却ジャケット)、および加工材料と加熱コイルの相対位置や焼入方法(移動焼入れと一発焼入れ)の選択により可能となる。