欠陥と対策 4(窒化処理時の欠陥と対策)

(1)変形
(Ⅰ)原因

 
熱応力と窒素の侵入、拡散による僅少の膨張による
(1 機械加工に発生した応力の除去が不十分の場合
(2 加熱温度からの冷却による熱応力
窒素の拡散浸入による表面硬化のため、片面で0.015~0.20㎜程度の寸法増加が生ずる。
500℃処理の寸法変化量(片面)=窒化層深さ×(0.03×0.04)
寸法変化量は処理温度が高いほど著しい
(Ⅱ)防止法
(1 窒化前の残留応力の除去
(2 窒化後徐冷
(3 窒化むらの防止
(2)硬さ不足
(Ⅰ)原因
(1 Al,Crの添加量の不足
(2 前熱処理の不完全
(3 酸化皮膜、肌荒れ
(4 部品の清浄および脱脂不十分
(5 NH3ガスの解離度が20%以下および80%以上に変動したとき
(6 窒化温度の不適当
(7 保持時間の不足
(Ⅱ)防止法
(1 適切な前熱処理の実施
(2 鋼種の選定、窒化鋼の使用
(3 部品の完全な清浄と脱脂
(4 窒素ポテンシャルの管理
(5 適正な窒化温度と処理時間
(6 窒化炉の有効加熱帯の把握
(3)窒化むら
防止法
(1 清浄で脱脂むらのないこと
(2 炉内流気、有効加熱帯を考えた保持方法
(3 素手で部品にふれないこと
(4 処理部品同士の接触を避けること
(4)窒化層不足
防止法
(1 窒化設定温度および窒化時間の遵守
(2 2段窒化およびプラズマ窒化の実施
(5)窒化層のはく離
防止法
(1 酸化層および脱炭層は硬化せず、軟弱のため窒化前に脱炭層を除去すること
(2 ε(Fe2-3N),Fe3C,ζ(Fe2N)の白層は脆弱のため崩壊、はく離を生じる。そのため有害な白層を除去する
(6)内部硬さの低下
防止法
(1長時間処理のため焼戻しが進み、軟化するので、前熱処理の焼戻温度を窒化温度より高くできるようにする。
(7)焼戻脆性
防止法
(1窒化は一般に高温焼戻脆性の温度範囲で行うため、必要量のMoを添加した鋼種を使用する。

 
 
※文末資料


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